地域と地元の有機農家を支える無茶茶園の40年以上の歴史と5つの取り組みをまとめてみた

無茶茶園グループ

こんばんは。オーガニックファーム旅@愛媛県/西予市/明浜町/無茶茶園@竹田たかひろです。

 

長い歴史の中で様々な取り組みを行いながら様々な組織を作り、組織編制していった無茶茶園。

自分の頭を整理する為にもホームページやスタッフさんに聞いた話を基に無茶茶園の歴史や現在の取り組みについて簡単にまとめました。

かなり簡略化したので、詳しく知りたい方は参照させて頂いた無茶茶園のホームページをご参考下さい。

40年以上にわたる無茶茶園の歴史

”無茶茶園STORY”を参照しました。

  • 1974年:3人の若者農家が無茶茶園を立ち上げる。今年で44年目
  • 始まり:15aの伊予柑園を貸り、有機農業の研究園とした
  • 1978年:生産者4名の自園地にて有機栽培をはじめる
  • 1984年:順調な販売を受けて明浜町内への普及拡大を図る。会員数が32名に増加。
  • 1988年:明浜町農協に有機農業部会を発足。会員数64名、栽培面積56ha、生産量700tへと増加
  • 1989年:『農事組合法人無茶々園』を設立して法人化
  • 2000年:狩浜の本浦・枝浦両地区にて農家数が地域の過半数を越え、スプリンクラーによる施設防除が中止される
  • 2011年:明浜地区の生産者会員が73名、面積110haとなり、明浜町外の生産者が約80名となる
  • 2016年:旧狩江小学校の利活用団体の代表法人となり、事務所を小学校内に移転。あわせて販売部門の事務機能を一つに統合する
  • 2016年:明浜町外の生産者が100名を越える
  • 2016年:農林水産祭むらづくり部門にて天皇杯を受賞する

 

多様な組織を持つ無茶茶園グループ

無茶茶園は長い歴史の中、必要とされる会社を作りながら組織を構築していきました

全体像を把握する為に、無茶茶園のホームページにもある”無茶茶園グループ関係図”をご参考下さい^^

無茶茶園グループ

 

無茶茶園の取り組みその①会員の農産物の販売

無茶茶園の最も根幹となる事業は、会員の農産物の販売

消費者との距離が近い産直販売を営業活動の基本とし、個人客、生協、宅配事業者、小売店などに柑橘を始めとした会員農家・契約農家の青果物を販売する。

農産物の販売以外に、加工品の企画・製造管理・販売や選果・出荷場の運営、生産管理や情報発信なども行う。

組合(農業組合法人 無茶々園)ではそれぞれの組合員が個別に生産を行っているが、組合員同士で協業したり生産資材の共同購入を行ったりしている。

農業組合法人 無茶々園

生産に関する協業、協同を図る目的で1989年に設立。農事組合法人の生産者は全園地加入、全量販売の共販体制を基本とし、みかん作りも日々の生活環境も共有しています。

生産者から理事を選出して無茶々園全体の運営にも中心的に関わり、常に地域の農業について話し合う場となってきました。無茶々園の活動の根幹になる組織です。

 

柑橘の有機栽培は非常に難しい為、取り扱う農産物は有機のものには限っていませんが、厳しい基準を設けています。

無茶々園の成木園栽培方針

01除草剤や化学肥料は使用しない。

02農薬はゼロからスタートし、なるべく少ない回数に抑える。

03病害虫の発生がある場合、まずは有機栽培で使用可能な天然物由来の農薬で対応する。

04それでも抑えきれない異常発生時のみ有機栽培基準外の農薬を最低限の仕様で対応する。

 

無茶茶園は”有機農産物を取り扱うJA”のような組織と言うこともできるかもしれません。

有機農業を行う生産者は、生産に手間・時間が掛かり販路の開拓や販売に掛ける時間を十分に取れないことがあります。

また、農薬を使用して栽培する場合に比べて外見がキレイさで劣る為、販路の開拓や販売に苦労することがあります。

その為、有機農家にとって有機農産物を適正価格で買い取りニーズのある顧客に販売してくれる無茶茶園の存在は非常に助かるものだと思います^^

 

無茶茶園の取り組みその②加工品の製造・販売

ジュース・柑橘加工品→ジュースを一口頂きましたが、フレッシュでとても美味しかったです^^

2016年、ジュースなど加工品の各商品をリニューアルし、加工品の販売は好調とのこと。

 

自社農園の野菜を使ったかんそう野菜→僕も切り干し大根を作るお手伝いをさせて頂きましたが、手間暇掛けて丁寧に作られてます。

かんそう野菜シリーズは、”有機野菜を一年中楽しめるように”というコンセプトで生まれたとのこと。

有機農産物は、基本的に旬の時期に作られますだから美味しいし、栄養価も高いのですが、裏を返せば旬の時期以外には作れないというのが現状です。

有機農産物がなかなか普及しない一因になっているとも言えます。

旬の時期以外にも有機農産物を食べてもらう為、日持ちするように加工するという取り組みです。

また、青果物は日持ちしないものが多く、収穫後すぐ販売しないと劣化し商品価値がなくなってしまいます。そこに付け込まれ、市場に同じ商品がたくさんある時には買いたたかれる傾向にあります。加工品にして日持ちするものにできれば、販売できる期間も長くなり、買いたたかれるリスクを減らすことができますね^^

 

自然派の柑橘類ベースのコスメブランドのyaetoko

知る人ぞ知るブランドみたいです。友達にも知っている人がいたりしました^^

僕は洗顔後肌が乾燥するので化粧水を使っているのですが、ここの化粧水、使ってみたいです。

農産物を食用以外のものに加工し付加価値を付けて販売している素晴らしい取り組みだと思います。

 

無茶茶園の取り組みその③地域福祉事業の展開

  • 2013年、高齢者介護を中心とした福祉事業を目的に『株式会社百笑一輝』を設立する
  • 2014年、俵津地区に福祉事業所『めぐみの里』をオープン。地域福祉サービスの展開をはじめる
  • 2015年、俵津地区に第二の福祉事業所『海里(みさと)』をオープンする

株式会社百笑一輝

無茶々園でホームヘルパー講座を受講したメンバーが中心となって立ち上げ、西予市明浜町俵津地区にて「めぐみの里」と「海里(みさと)」の2つの福祉施設を運営しています。

農業団体が作る福祉。家族で営んできた農業では、高齢化とともに福祉の負担がその継続性にも影響を与えます

日本労働者協同組合連合会に参加するとともにホームヘルパー講座を開講し、福祉の人材育成からスタートしました。

お年寄りが加工用ポンカンの皮をむき、果皮から抽出した精油を利用してyaetocoの商品化を行っています。農業と連携し、介護予防とあわせて、年を重ねてもできる手仕事の場を提供する取り組みを進めています。

新たな福祉サービスなど、地域で求められていること、必要な仕事を自ら形にすることで、地域の人たちが生きがいを持って輝き過ごせるようなまちづくりと、そのための人材の育成を目指しています。

めぐみの里、海里

デイサービスセンター、有料老人ホームとして、めぐみの里は2014年、海里は2015年に開所しました。

共に生きる、共に働く、自宅で最期を迎える。この理念のもと、介護予防を重視した福祉事業を行っています。また、新たな仕事起こしを通じて、高齢者だけではなく子供や障がい者を含めた総合的な福祉サービスを行う拠点作りを目標としています。

事業は好調で、売上高は1憶1500万円(2016年3月期)。

福祉事業についてはほとんどお話を聞けていないのですが、農福連携で相乗効果も出せる興味深い事業だと思いました。

 

無茶茶園の取り組みその④就農希望者の研修

  • 1999年、新規就農希望者の受け入れと大規模有機農業の実践組織として『ファーマーズユニオン天歩塾』を設立
  • 松山市北条に『有限会社ファーマーズユニオン北条』を設立。パイロット事業で整備された北条風早農場(野菜畑)を開園
  • ファーマーズユニオン北条と天歩塾の運営体制を一元化し、新規就農者組織を再構築する。

ファーマーズユニオン天歩塾

新たに農業に関わり、地域に移り住む人材を受け入れるため、就農希望者の研修と農場運営を行っています。

天歩塾は”向こう見ずな”に近い意味の狩浜の言葉”てんぽな”から名付けました。新しいこと、無茶なことでも恐れずにやってみる。これからの時代に新しい農業や生き方を模索していきます。

今回、僕もここで研修を受け入れて頂いています。良い方ばかりで、たくさんお話させて頂き学ばせて頂いています^^

僕のような新規就農を検討している人にとっては、このように体制を整えて研修の受け入れをしてくれるのは非常に助かります。

 

無茶茶園の取り組みその⑤海外事業

  • 2002年、フィリピンからの農業研修生受け入れを開始する。
  • 2007年、ベトナムから農業研修生の受け入れを開始する。
  • 2012年、ベトナムからのコショウの試験輸入を開始する。
  • 2013年、ベトナム・バンメトート市にて『ファーマーズユニオンベンチャー』を設立コショウの輸出、有機野菜の流通などを始める。

ベトナム中西部に位置する高原地帯、ダクラック省バンメトート市にて、有機農業の実践と普及、農産物のベトナム国内での流通と国外への輸出を行っています。

帰国した実習経験者に加え、日本人スタッフと現地スタッフが運営にあたっています。

無茶々園の生産者はベトナムやフィリピンの若者を農業技能実習生として受け入れています。

高齢化が進む明浜では農家の重要なパートナーでもあります。しかし技能実習は単なる労働力の補填ではありません農業技術や販売、生産管理の仕組みを身につけ、祖国へ帰った後に活かされることに意義があります

有機農業運動とともに歩んだ無茶々園は、国内では産直の仕組みを背景に思い描くまちづくりに取り組むことができました。

それでも、いま明浜では高齢化と人口流出とともに新しい農業経営が求められ、他方アジアの農村地域では経済拡大のなかでかつて明浜が経験したような激動の時期を迎えようとしています。

日本の農家もこれからは国境を超えて農業に取り組まなければいけない無茶々園が手にした産直と地域づくりの仕組みをアジアに広げたい

創始者のひとり片山元治がベトナムに渡り、無茶々園らしい海外事業の展開を模索してきました。

海外の生産者とも連携したり、海外でも無茶茶園のような産直の仕組みを作るというとても興味のある取り組みです。視野が広がりました。

 

長くなってしまいましたm(__)m

今回は無茶茶園の5つの取り組みをピックアップしましたが、その他にも様々な面白い取り組みをされています。

書いていて、無茶茶園の広報にでもなったような気がしてきたのですが、無茶茶園と利害関係は一切ありません。笑

こういう組織が作れたらいいな、こういう取り組みができたらいいな、と思うようなことを実現させている無茶茶園。本当すごいです。

自分なりにまとめてみたのですが、現在の無茶茶園についてもホームページに詳しく書かれているので、興味のある方は是非見てみて下さい(^^)/

無茶茶園グループ